今から15年ほど前、『成恵の世界』というアニメが放映されていた。
同名のマンガが原作で、ジャンルはSFコメディ。単行本は全13巻で、5年ほど前に完結している。
このアニメを僕は観たことがない(原作も読んだことはない)。だから登場人物も、ストーリーも、出演している声優も知らない。ただ、タイトルの雰囲気からいって、成恵という女の子が出てくるのかなあ、と予想はできる。
大昔のある夜、たまたまテレビのスイッチを入れた時に、この作品を放映していたのだ。すでに本編は終了していて、エンディング曲が流れているところで、その作品について特に興味がなかった僕は、何か他のことに気を取られていて、画面を見ていなかった。
そして数日後、頭の中にそのエンディング曲がこびりついてしまったことに気づいたのだ。なにかのきっかけて、その曲のサビのところが脳内で再生される。そのメロディは、とても僕の好きな風合いだったのである。
曲名はおろか、その曲が使われていた作品名もわからなかったのだが、調査の結果、その曲名が『アイスクリイム』だということが判明した。ちなみに歌っているのは千葉紗子という人だ。
以来、数ヶ月から数年に一度くらいのタイミングで、ふとこの曲が聴きたくなり、YouTubeなどで聴いたりしている。
たまに発作的に聴きたくなるという特性からか、そういえばCDを買おうと思ったことはなかった。ふと気付くとそれなりに長いつき合いになる曲なので、著作者へのお礼として今さら購入してみてもいいかもしれない。
この曲は、なんというか、派手さはないもののポップソングとして大変よく出来ているように思う。きれいなメロディときれいな声、伸びやかに歌い上げられるサビ、と、いわゆる「いい曲」になる要素が充分に盛り込まれている。
ただ、その特長のせいで、なかなか「好きだ」と言いづらい曲でもある(感想には個人差があります)。
皮肉屋かつ毒舌家、視界に入る人間はすべてからかう対象とみなす……というキャラで通していたのに、実は週末は欠かさずに猫カフェに通っているのがバレてしまった……という感覚が近いだろうか(うまいたとえ話をしようとしてあまりうまくいかなかったという自覚はある)。
「アイスクリイムが溶けてゆく時間だけ、あなたのこと、恋してみようか」
いい歳をしたおっさんが、こういう歌詞の歌を聴いていて、もう10年以上になるというのに、まだ飽きることがない。