2019-01-01から1年間の記事一覧
僕の住む町では二時間ほど前から「え、台風?」などと思ってしまうような強風が吹き荒れています。ついつい「なんとも荒れた年の瀬だゼ」などとひとりごちてしまい、そういえば「ひとりごちる」なんて言い回し、久しぶりに使ったなあ、などとどうでもいいこ…
都内有数の大きな駅の構内で、大声で発言しながら歩いている女の人がいた。 年齢は20代といったところだろうか。ひとりで歩きながら、真正面に向かって叫んでいる。僕から見える範囲での判断では、彼女の視線の先に、そのメッセージを伝えたい相手が具体的に…
まだ暗い路地をとぼとぼと歩き、駅に向かう。 風が冷たい。鼻とか耳とか、頭部の突出したパーツが少し痛み、きっとほのかなピンク色になっているんだろうなあ、と思う。 とあるマンションのそばを通り過ぎたとき、そのマンションのゴミ回収スペースに、張り…
それがいわゆる平日であれば、毎日同じような時刻に自宅を出て、駅のホームの同じような場所で電車を待ち、同じような座席に座り会社に向かう。 朝6時台の通勤電車に乗り込むのは同じような境遇の人が多いようで、いかにも会社員、という風体のメンバーばか…
夢の中に、友人が登場した。 彼の顔を見るのは十数年ぶりのことだったので、それはそれは驚いた。 その昔、僕と彼はたいそう仲が良く、毎晩のようにインターネット上でチャットをしていた。会話の内容はほとんどが雑談だ。お互いの住んでいる場所は遠く、就…
どうしてそういうことになったのかよく覚えてはいないのだが、ふと娘に「CDってなんの略称だか知ってる?」と聞いてみたところ、 「お、大喜利か?」 と張り切りはじめた。どうしてそういうことになるのだろう。 とりあえず僕の回答は、 「違います」 ……だ。…
寒い朝は、駅のトイレが混む。 大きな駅のそれなりに大規模なトイレから行列がはみ出している光景を見ると、ああ、偉そうにしているけど、人間も結局のところ動物なんだな、という気持ちになる。 通勤で使うある大きな駅で用を足す時に使用するトイレがだい…
なんだかどんどん気温が下がってきて、いつの間にかふつーに薄いコートなどを羽織って外出するようになった。ほんの一昨昨日くらいまで、まだTシャツだけでもいけるんじゃね、などと思っていたような気がするのだけれど。 ちなみに「一昨昨日」という単語は…
「新語・流行語大賞」の候補が発表され、「えーこんな言葉使ったことあるかなあ」などと思いつつ、自分がいかに流行に疎いか実感する、というのがこの時期のささやかな恒例行事になっている。 今年ノミネートされた言葉たちは、例年に比べるとまだなじみのあ…
駅の階段で久々にすっ転ぶ。 ホームから降りる階段の、最後の段を踏み外したのだ。 ここで、そこそこ長いこと生きていれば時には階段を踏み外すこともあるよな、と思えればいいのだが、ついつい持病の進行状況との関連について思いをはせてしまうのである。 …
夕方、ベランダにいた家族が悲鳴を上げながら僕を呼んだ。 何事かとおもい駆けつける……というほど広くないので数歩移動すると、ベランダの床に虫の死骸がある。家族は虫が大の苦手なので、こういう機会があるととりあえず僕が招集されるのだ。 家族はいつも…
ゆずこしょうという調味料にコショウが含まれないことをかねがね不思議に思っていた。 それはつまり、「海ぶどうという食べ物にブドウが入っていなかったり、イヌノフグリという花に犬のふぐりが入っていないのと同じようなものなのか」などと、我ながらわか…
せっかく、棚からぼたもち的な休日(といういい方はあまりよくないのかもしれないけど)を手に入れたのに、どうにも天気が悪い。昨夜から降りはじめた雨は朝まで続き、手元の天気予報アプリによれば昼くらいまでやまないらしい。 こういう日は、犬の散歩(朝…
ラグビーで有名なリーチマイケルさんという人の「リーチマイケル」が、「リーチマイケル」というひとつの言葉なのか、それとも「リーチ」と「マイケル」というふたつの言葉なのか、そこのところがよくわからなかったのである。 これはもしかすると、ラグビー…
図書館というところの何がやっかいかって、あそこには、本がたくさんあるのである。 世の中に存在する本の大半を僕は知らない。大きな書店とか図書館に行くとそれがよくわかる。世界には、僕の知らない本がたくさんあるし、ということは、僕の知らないことや…
ある日、歳の離れた同僚がこんなことを言ったのである。 「さすがにいい歳して、ジーパンにTシャツで外出とかありえないですよね」 9月とはいえまだ暑さの残る、そんな日のことであった。その時は会社からの帰り道で、駅に向かって歩いていたところである…
ふと気がつけば月が変わり、今日から消費税は10パーセントになる。 ここ最近の、「増税前の今! まとめ買いのチャンス!」的な盛り上がりにすっかり乗り遅れたまま10月を迎えてしまった。まあ、あまりお金に縁のない生活をしているので、乗り遅れるも乗り遅…
日付が変わるその近辺、僕は会社でキーボードを叩いていた。 金曜夕方に出社して、土曜深夜に仕事が終わる。そういう時間帯でしかできない作業というものが時々あり、会社員ゆえにやれと言われればやるしかないのだが、いつも眠っている時間帯に仕事をするの…
とぼとぼと伏し目がちに歩いていたら、五つ子と思われる柴犬の兄弟と目が合った。 兄弟はマンホールの上にいて、興味津々といった風にこちらを見ている。 こちらに話しかけたそうにうずうずしている兄弟にあいさつをして、うつむいて歩くのも悪くはない、と…
とあるマンションのそばに、ワンボックスカーが止めてあり、そのマンションから出てきた男がふたり、車の中に荷物を運びこんでいる。僕は、男たちが運び込んでいるものの名前が思い出せず、あれ、なんだったっけな、と考える。 車の中にはすでに別の物が置か…
比較的高い年齢層のメンバーの中で仕事をしているということもあって、世の中の流行り廃りみたいなところが疎くなっている……という風に書いてしまうのも問題があるのかもしれないが、少なくともまあ、職場の僕のまわりの状況はそんな感じなのである。 もちろ…
どうしても眠れない夜、というものがたまにある。頻度としては年に数回。子供の頃から延々と続く、困った不定期イベントだ。どこかが痛かったり苦しかったりするわけではないのだが、ただただ眠れない。 眠れないなら起きているしかないのだが、一日分の疲れ…
海岸沿いを、海を見ながら歩きたい。 ふとそんなことを思い、電車に乗って海を目指す。 海に向かう電車はあまり混んでいない。この電車はいくつかの都内の代表的な大型駅に停車するので、観光目的の乗客以外に、普通に通勤で使う人も使っている。一応、通勤…
夕方が終わり、そろそろ夜になりますよ、という時間帯に、突然、火災報知器の音が聞こえてきた。まあ、「突然」とは書いたものの、事前に予告してから鳴る火災報知器というものもないような気はする。 僕の住む地域は、小さなマンションやら一戸建ての住宅や…
僕の住む町から一番近い繁華街に新しくできた映画館に行ってみる。 なんでも国内最大級のスクリーンが自慢なのだそうだ。この映画が観たい、というより、その映画館の巨大スクリーンを見てみたい、という動機で上映スケジュールを確認してみると、たまたまそ…
夜になると犬がベッドに上がってきて、先に横になっている僕に寄り添うように眠るようになった。季節は秋に移りつつあるということなのだろう。ただ、しばらくすると「まだくっついて寝るには暑いわん」とかなんとか言いながらベッドを下り、床の上に移動し…
テレビのニュースから聞こえてきた「店員をオカズに……」というアナウンサーの声に、宮沢賢治の『注文の多い料理店』をふと思い出し、なにやらとても猟奇的な事件が起きたのではないかとドキドキする。その時、頭の中に流れていたセリフは、 「おい店長。あそ…
スタッフロールとかエンドクレジットとかいわれる例のあれ、映画が終わる時にスタッフやキャストの名前が流れるように表示されるあの時間帯の最後には、その映画の監督の名前が表示されることが多い。 スクリーン下方から監督の名前が登場する時に、「そのま…
会社からの帰り道、通勤電車の中で、隣に座っていたおじいさんに足を触られる。 もう少し詳しく書くと、それまでずっとうつらうつらと眠っていたおじいさんがふと目を覚まし、突然、僕の足を触ったのである。その電車に僕が乗ったとき、おじいさんはロングシ…
よく言われるところの「ウォシュレット」は商品名で、機械としての名称は温水洗浄便座というらしい。 温水洗浄便座。 まあまあのネーミングだなあとは思うものの、その実態を知らない人が「温水洗浄便座」などと言われたら、「温水で洗浄された便座」と思う…