平熱通信

妄想癖、心配性、よそみがち。

風の音。

早朝のニュースによると、会社から3キロくらいの住宅街で避難勧告が出されたらしい。
雨はそれほど強くないけど、風がすごい。

自宅から駅に向かうコースには途中に高校と幼稚園があり、都内の住宅街にしては大きな木を多く見ることができる。それらの木々を強い風が揺らし、今まで聞いたことのない音をたてている。

ごうごう。
ざわざわ。
しゃしゃしゃしゃ。
ごおおお。
ぶおうぶおう。

……ひらがなで書いてしまうとあまり面白くないが、こういった音が同時多発的に発生し、時にひとつのかたまりになって空気と地面を震わせる。

背後から何かが迫ってくるような気がしてあわてて振り向くとそこには散歩中の人も犬も自動車もなく、そうかきっと風のかたまりのしわざなんだと思う瞬間が何回かあった。
このかたまりの圧力を無理やり何かに例えるとすると、ジェット機に追われている感覚、になるような気がする。もちろん、実際にジェット機に追われたことがあるわけではないので、この例えには多くの予想が含まれている。

朝からなんだかとてもすごいものを聞いた。
こんなにすごいものを聞く機会は、きっとそうはないだろう。