いい天気、だけど涼しい。
歩きながら考え事をしたくなり、犬の散歩を買って出る。
ぽつぽつとしょうもないことを考えながら、適当に歩き、その道すがら、特に目的もなくあたりを見回してみる。僕はよそ見がちな人間なので、慣れ親しんだ近所を散歩しているにもかかわらずあちらこちらをきょろきょろする。犬を連れていなければ不審者に見えかねない。
たまたま見かけたマンションに、
「マンション・シゲル」
と書いてある。
オーナーはシゲルさんというのだろうか。そうならば、漢字で書くと「茂」あたりになるのだろうか。いやいや、「繁」も捨てがたいぞ。まあ、捨てがたいっていうのもヘンな話だが。
これは個人的な感覚でしかないのだが、もしこの「シゲル」が苗字に対する名前だとすると、なかなか珍しいネーミングのマンションなのではないだろうか。どちらかといえば、こういうものは苗字から付ける方がポピュラーなような気がする。
【例その1】
「マンション・スズキ」
「山田マンション」
「メゾン勅使河原」
【例その2】
「マンション・イチロウ」
「健二マンション」
「メゾン作造」
……まあ、だからなんなんだ、という話ではある。