朝の情報番組で星占いのコーナーがはじまると、なんとも消化不良な気分になることが多い。
もともと、星占いについてそれほど興味があるわけではないのだが、耳に入ってくればちょっと見てみようかな、と思うことはある。ただ、「星占いコーナー開始」→「テレビのある方に首を回転」→「メガネをチェンジ」→「画面に表示されている星座の中から自分のものを見つける」という一連の動作が間に合わず、結局のところ自分の運勢がわからない、ということがわりと多い。
テレビを見るまでに手間がかかるこちらにも問題はあるが、画面に表示される文字情報から自分の星座を見つけるのはなかなか大変だ。運勢についての説明を1画面で複数星座分表示しなくはならないので、文字数が多くなるのはある程度仕方ないとしても、文字も背景も明るい色でそもそも文字の存在自体が判別しにくかったりして、運勢の良し悪し以前に門前払い、ということが時々起きるのだ。
とはいえ、テレビの大きさやそこまでの距離、視力の良し悪しによっても大きく印象は変わるものだろうし、僕だって数年前の視力なら門前払いは食らっていなかったはずだ。だいたい、星占い自体にそれほど興味はないのである。うまく見ることができなかったからといって、悲しみにくれるようなこともない。
ところが今朝に関しては、僕の星座についてのアドバイスを読むことができた。
順位を読み取ることはできなかったが、画面の配置上、真ん中へん、というところではないだろうか。
「いつもと違ったことをするといい」
というのが、今日の僕へのアドバイスだそうだ。日頃、あたらずさわらずおとなしく、地味に目立たず過ごしたいと思っている僕のような人間にとって、それが何であれ、いつもと違ったことをするというのはなかなかにハードルが高い。
一瞬、「いつもより、少しだけ濃いめの口紅にしようかな」とも思ったが、今日のコーディネートでは少し浮いてしまうかもしれないし、そもそもそんなものは持っていないのだ。
そんなことをほんやりと考えていると、足元から軽く圧力のようなものを感じた。我が愛犬が行儀よい姿勢で座り、こちらをじーっと見ているのである。朝のおやつ、おめざが欲しいのだ。
「いつもと違ったこと」ということで、通常3つあげているところを今朝は5つにしてみた。犬は大変喜び、最後のひとつはくわえたままリビングの隅まで小走りで移動し、こちらに小さな背中を向けてゆっくりと味わっていた。
距離をあけたのは、「いつもより多くあげていたことに気づいた飼い主(僕だ)が、あわてて取りに来る」とでも思ったのだろうか。
ウチの犬は、星座でいうとみずがめ座になる。もしかしたら、今日の星占いで、みずがめ座は僕のふたご座よりも順位が上かもしれない。