平熱通信

妄想癖、心配性、よそみがち。

魚肉ソーセージ週間。

ここ一週間ほど僕の身体を薄ーく包んでいた寒気がようやく治まってきた。
僕の場合、体調が悪く、とはいえ食欲がなくなるほどでもない、というような場合、いつもより多めに栄養を取って早期回復を試みる。かつて観た映画の中ではルパン三世もそのようにして傷を癒していたし、僕の父は、風邪をひくとショートケーキとコカ・コーラで治していた。
この方法がどの程度効率よく体調を回復させるのか、実際のところはよくわからないが、病魔との戦いが長期戦にもつれこむと確実に体重が増えてくるので、「はやく治さないと大変なことに!」という気分は高まる。

フィッシュマンズの歌詞に「風邪薬でやられちまったみたいな」というようなフレーズがあるが、先週はずっと、なんともぼんやりとした心持ちで過ごしていたような気がする。 ただでさえぼんやりと過ごしている僕のような人間が、風邪薬で感覚が緩慢になってくると、そのぼんやり度合いは数ランクアップする。会社帰りに手に入れようとしていた雑誌やコーヒー豆は3日連続で買い忘れ、シャンプーの相棒であるところのコンディショナーは一週間続けて買い忘れてしまった(余談ではあるが、一週間コンディショナーなしで過ごしても、僕の髪には特に目立った変化は見られなかったような気がする)。

体調が崩れてくると無性に食べたくなるものがある。これはその都度変わるもので、ある時は豆大福だったり、ある時はコーンポタージュだったりするのだが、今回についてのそれは魚肉ソーセージなのであった。
ふとそれが食べたくなると、昼夜を問わずコンビニに出向き、帰宅後もりもりと食べた。先週を通して4本パックを何回か買ったのだが、なにせ超ぼんやり週間だったので、結局のところ、一週間で何本の魚肉ソーセージが僕の胃袋に納まったのか、正確な本数はわからない。おそらく8本から16本の間くらいかなあ、とは思うのだが。

ところで、僕の家族の魚肉ソーセージへの関心のなさについては残念な思いを禁じ得ない。娘に至っては魚肉ソーセージを「ギョニソ」と略し、コンビニのアメリカン・ドッグの食べくらべをするような人間であるにも関わらず、「ああギョニソ? それはちょっと違うかな」などと言いだす始末だ。

ちなみに1本約130キロカロリー。
ほとんど音を立てずに食べることができるので、夜中に小腹が空いた時に、こっそり食べるのにも最適だ……と、伊坂幸太郎の小説の主人公も言っている。ちなみにその主人公は殺し屋だ。