平熱通信

妄想癖、心配性、よそみがち。

翼をください。

先月から続いていた自宅待機状態がやや緩和され、週何日か出勤することになった。ざっくり計算すると、自宅待機率八割減だ。
ふりかえってみると、ゴールデンウィークをはさんでいるとはいえ、この一か月の間に二日しか出勤していない。これは間違いなく社会人になってからはじめてのことだ。

どうせ待機するのならということで、とある資格を取るための勉強などはじめてみたのだが、あまり順調にはいかなかった。机に向かっている時間は長いのだが、参考書の内容が一向に頭に入らないのである。これはまあ、人によって違う話なんだろうけど、僕個人の現状としては、加齢によって予想以上に頭が固くなっていた、ということなのだろう。参考書には日本語で文章が書かれているはずなのに、読み終わるとなぜか頭に残っていない。これは歯がゆいものである。

もしかすると若い頃に比べて集中力がかなり減退しているのかもしれない。
……というような仮説を立て、ためしに思いつくままいくつかのテーマを設定して、それらについて集中して考えてみることにした。つまり、いかなるテーマにおいても集中力が続かなくなっているのか、はたまたテーマによって集中する度合いが変わってくるのか実験してみたわけだが、その結果、テーマの内容がくだらなかったりいかがわしいものであれば驚くほどに頭が回転する事がわかった。まあ、森羅万象すべてのものについて集中できなくなるよりはマシなのかもしれないが、長生きすればするほど純度の高い不真面目人になっていくようでそれはそれで問題視したほうがいいような気もする。
それにしても、実験のために無作為に設定したテーマとはいえ、「臀部」について昼間から集中して考えるのはなかなかエキサイティングな出来事であった。
放っておくと暴走する一方の臀部への想像と妄想。想像力と妄想力の翼は際限なく拡がり、それを大きく羽ばたかせた僕は自分が生み出した空想上の世界に飛びこんでいく。……なんだかずいぶんと危ない中年男ぶりを発揮しているようにも思われるが、StayHomeが推奨される今、空想の世界に遊びに行くのはけっこう理にかなっているのかもしれない。

今回は自宅待機期間中の自己啓発活動について書きはじめたはずなのだが、最終的にはどうしようもない内容になってしまった。

つまりそういうところなのである。