会社からの帰宅途中、通り過ぎたガソリンスタンドの広告が目に留まる。
そこにはこんなようなことが書いてあった。
「3次元ガソリン」
え、ガソリンって普通3次元なんじゃないの、液体って実は2次元だったりするんだっけ、などと一瞬思ってしまうのが文系の弱みというかそれ以前の問題というか。
なんにせよ、そうなると気になるのが「2次元ガソリン」というものが存在するのかどうか、ということになるが、「2次元ガソリン」という言葉を頭に浮かべ、しばらく思案してみてもそれについてうまく想像ができなかった。
これが「4次元ガソリン」になると、「お、タイムマシン用の燃料か?」くらいの想像はできるのだが。
街中で見かけた興味深い言葉といえば、自宅近くの美容院前に置いてある黒板状の立て看板に書かれた、
「デジタルパーマ」
というのもなかなか気になるところだ。美容院に行ったこともなければパーマをかけたこともないので、この言葉がパーマ愛好家の中でどの程度一般的に使われているものなのかよくわからない。
「デジタルパーマ」というものが存在するのであれば、それ以外のパーマは「アナログパーマ」と呼ぶのだろうか。そもそも、この場合のデジタルとは何を指すのか。
デジタルという言葉を辞書でひいてみると、
デジタル〖digital〗
物質・システムなどの状態を、離散的な数字・文字などの信号によって表現する方式。
ディジタル。⇔アナログ。
「大辞林 第三版」より
……と、なんだか難しい(「離散的な数字」ってなんなんですか)。少なくとも、美容院で髪型を変化させることとの関連性を見つけることは僕にはできなかった。
デジタルカメラとかデジタル配信とか、身近な言葉としてのデジタルから想像すると、これらはつまり、これまでそうではなかったものを、電子機器を介してデータとして扱っているものだ。フィルムからデータ、CD、レコードからデータ、という具合に。
ということはつまり、
「これまでそうではなかったものを、電子機器を介してデータとして扱ったパーマ」
……って、いっそ清々しくなるくらい意味がわからない。
そんなようなことを考えていたらなんだか面白くなってきたので、もうしばらく正体は調べないでおこう。