平熱通信

妄想癖、心配性、よそみがち。

トイプー女子は前のめり。

急に左前足を使わなくなった我が家の愛犬であるところのくり(トイプードル。女子)については、医者の眼力をもってしても「筋を痛めたか、それともネンザか、そのあたりでここはひとつ」という、ややあいまいな判定しかできなかったようだ。

レントゲンの結果、骨に異常はなく、その他もろもろの検査(僕が病院に連れて行ったわけではないので、実際に何をしたのかはよくはわからないのだが)でも特に異常はみられないという。というかそれ以前に、痛がる素振りすらみせないのだが、とりあえず痛み止めを処方し、しばらく様子をみるということになった。
「いや実は、おとといくらいかな、散歩のときにちょっとひねった感じはするのだわん」とか言ってもらえれば医者にとっても便利なのだろうが、そうはいかないところが動物相手の難しいところだ。

なるべく足に負担がかかるようなことは避けるように、ということで、僕のベッドへの昇り降りや散歩の時の階段の移動などは飼い主が抱いて行なうことになった。痛み止めの薬を混ぜ込むために水分を含んだドッグ・フードが必要なので、いつものドライフードではなく缶入りのドッグ・フードも用意した。缶には「肉がたくさん入っているのでワンちゃんも大興奮」みたいなことが書いてある。
これはもしかすると、犬にとってはかなり良い待遇かもしれず、その境遇を満喫しているうちに徐々に増長してくるのが面白い。その増長の方向として彼女が選んだのが「甘える」という行為で、眠くなるとべったりとくっついてくるようになった。体重のすべてをかけて身体を預けられるなんて、彼女がまだ子犬だった頃以来である。もう一段階さかのぼれば娘が赤ちゃんだった頃もそういう時期があった。なんにせよ、悪くない気分である。

それにしても、缶入りドッグ・フードはとても美味いものらしく、かぶりつく口部分で皿を押しながら食べている。
年齢的にはとっくにレディのくりが皿とともに移動しながら食事を続けているところを見ると、おお、よかったなあ、と思う。ただ、薬を服用する短い期間だけのごちそうなので、もう少し味わって食べることをおススメしたいところではある。