平熱通信

妄想癖、心配性、よそみがち。

Signage! Signage!! Signage!!!(英単語を3回くり返して書くとカッコよくなると信じている世代)

通勤途中の乗り換え駅で、突然聞こえてきた若い女性の泣き声は、早朝の構内に響きわたったのであった。
その声は、基本的に知らない人に積極的に声をかけられない僕のような人間ですら心配になってくるような悲しそうなものであった。そう思うのは僕だけではないようで、人影のまばらな構内で、あちこちを見回している人が何人かいた。

結局のところ、その声は構内にある太い柱から発せられたもので、映像や音声が流れる電子的な看板、いわゆるデジタルサイネージというやつが柱に設置されていて、そこで流されていた映画の予告編の中で、ヒロインが泣いていたのだ。
その泣き声に朝からドキドキと心配になってしまったわけで、とりあえずそういうことなら一安心などと照れくささと恥ずかしさの入り交じった心持ちで頬を赤らめたりしたのであった。ちなみに予告されていた映画はなかなか面白そうだった。観に行ってもいいかもしれない。

前々から思っていたのだが、「デジタルサイネージ」という言葉はなにやらとてもおおげさなイメージをはらんでいるのではないだろうか。
要は「電子看板」に「デジタルサイネージ」とは。
この「とは」に込められた僕の気持ちを説明するのはなかなか難しいのだが、「サイネージ」って、少なくとも僕にとっては、なんだかとてもすごいもののように思わせる言葉なのである。
「サイネージ」の響きが「サイボーグ」に似ているからだろうか。「サイ」ではじまる言葉に「サイキック」とか「サイコパス」とか「サイバー」とか、すごそうなメンバーがそろっているからだろうか。
まあ、それをいったら「サイダー」だって「サイ」はじまりだし、「サイネージ」は「サイボーグ」よりも「ソーセージ」に近い響きのような気もする。

書いている自分ですら「なに言ってんだコイツ」という気持ちになってきた。
こういうことを真顔で相談できる友人が欲しいものだと思う。