平熱通信

妄想癖、心配性、よそみがち。

時短で低カロリーでリーズナブルでバズな究極ランチとは。

スーパーで売っているいわゆるカット野菜、もう少し細分化するとキャベツの千切りを透明な袋に入れて売っているようなアレ。
うちの近所のスーパーでは千切りキャベツや、それにこれまた千切りのニンジンやたまねぎなどもブレンドしてサラダっぽくしたものや、ちぎったレタスなども売っている。袋の大きさは二種類あって、小さいのがひとり用、大きいのがご家族用、というように使い分けるのだろう。

先日、袋入り千切り野菜サラダ仕様の大サイズをそのまま食べている人を目撃した。場所は会社の休憩室で、昼時には社員食堂を使わない人や外でランチをしない人たちでにぎわうところだ。僕もだいたい毎日ここを使っていて、その日のランチはマカダミア・ナッツがぎっしり入ったパンと日清シーフード・ヌードルであった。

もちろん、「そのまま食べている」と書いてはいるが袋ごと食べているわけではなく(当たり前だ)、その人は、袋の中の野菜を割り箸を駆使してわしゃわしゃもぐもぐと食べていた。おそらくは20代前半の、スーツをきっちりと着た女の子で、背筋を伸ばし、目の前をの野菜を摂取しているその様子は、「凛々しい」といってもいいくらいのたたずまいであった。

これが僕のような髪の毛から姿勢から体型から着ているカーディガンから生活態度までゆるみきった挙げ句ほつれているような人間であれば、その食事風景もやたらと残念な感じに見えたかもしれないが、彼女の食事風景には不思議な説得力があり、むしろ、なんだかとても効率的な、最先端の食事を見ているような気持ちになってしまった。
得られる栄養のバランスはよくないかもしれないが、短期的に野菜だけ食べたい、ということはあるだろうし、軽いし、刻んだ野菜だけとはいえ大サイズであればそれなりの満腹感もあるような気がする。割り箸を使うことで食後に多少のゴミは出てしまうが、なにも持ち帰らなくていいし洗い物もないというメリットを優先したい人もいるだろう。たとえば割り箸ではなく愛用の箸を持参してもたいした荷物にはならないはずだ。

効率的な食事ついてストイックに探求した結果、宇宙食を食べることにした人を見たときに受けるであろう衝撃。
……この時の気分を短くまとめると、こういう風になるだろうか。

とはいえ「よし、明日からは僕もこれだ」ということにはなりそうもないが、あの食べ方の場合、味付けはどうしているのだろうか、というような興味は尽きない。