娘がコンビニに行くというので、ついでに買い物を頼む。
「いいけど、セブンには行かないよ」
というのが娘の返答で、セブンとはセブンイレブンのことである。
僕がお願いしたものはどのコンビニにでもあるものなので、娘がセブンイレブンに行こうがファミリーマートに行こうがローソンに行こうが別にかまわない。ただ、わざわざセブンイレブンを名指しで出してきたことに興味があったので、理由を聞いてみた。
娘の回答はこうである。
「そろそろ、セブンを卒業しないとダメだと思うんだ」
それに続けてこうも言った。
「今までセブンが好きすぎて、すっかり依存体質になってしまったんだけど、やっぱそれじゃダメだと思うんだ」
言っている言葉の内容は理解できるし、お気に入りのコンビニがある、という気持ちもわからなくはない。ちなみに僕が娘くらいの年齢の頃、好きだったコンビニはファミリーマートだったような気がする。当時の僕の行動範囲の中にあったコンビニの中では一番店舗が大きくて、カマンベールチーズを扱っているのはファミマだけだったのだ(たしか)。
それにしても依存体質とは大げさな、と思っていたのだが、コンビニから帰ってきた娘から受け取ったものにはセブンイレブンのマークが入っていて、僕が「およ」と思うか思わないかくらいのタイミングで娘はこう言ったのであった。
「卒業……できなかった」
一度はファミリーマートに向かったものの、そこではどうしても満足することができず、「ちょっと負けた気にすらなって」セブンイレブンに直行したのだそうだ。なるほど立派な依存体質といえるかもしれない。
HKT48から指原莉乃が卒業するというニュースが世間を騒がせている中、僕の中のトップニュースはこちらの「卒業に失敗した」ほうの話なのであった。