平熱通信

妄想癖、心配性、よそみがち。

聞き間違いが奇々怪々。

「日本中が、ある程度夢中」という声が、テレビから聞こえてきた。それは家族の誰かが見ていたもので、僕はその瞬間を直接見てはいなかったのだが、どうやら何かのCMらしい。

「日本中が、ある程度夢中」

何のCMだか知らないが、CMならばなんらかの商品を消費者におススメするのが目的であることが多いはずだ。「ある程度夢中」というのは、商品をおススメする際のキャッチコピーとしては、控えめすぎる、というか、ささやかすぎる、というか、受け取り側のこちらとしてはなんとも中途半端な気分になってしまうのではないだろうか。
もしかすると、こちらをそういうモヤモヤした気持ちにさせて気を引くという類の変化球CMなのかもしれない。
そう思い耳をすませて数秒後、それが、レディ・ガガが主演する映画『アリー・スター誕生』のCMだということがわかった。そしてその後の追跡調査の結果、「日本中が、ある程度夢中」は、「日本中が、アリーに夢中」を聞き間違えたということも判明した。
判明したのはいいのだが、「ある程度夢中」と「アリーに夢中」では、簡単に「聞き間違い」として扱っていいのかどうかわからなくなるくらいの距離感を感じなくもない。
大丈夫なのか我が耳は。