平熱通信

妄想癖、心配性、よそみがち。

タブレット未使用世代認定。

会社で僕の隣に座っている後輩とは、お互いに年齢の公表をしたことはないものの、20歳以上の差があるはずだ。

彼(後輩は男の子なのだ)は最近Androidタブレットを購入したそうで、数年ぶりに買い換えたそれはとてもキビキビと快適に動作して、もう便利で便利でしょうがない、というような話をしてくれた。
それについて僕は「それはいい買い物をしたねえ」というようなコメントをして、会話はつつがなく進行した。新しいタブレット端末がもたらす「便利な感じ」は、僕にも容易に想像できる。

その会話の最後を、彼はこんなセリフで締めくくったのであった。
「タブレット、便利ですよ。機会があったら使ってみるといいですよ」
僕は彼に対して、タブレット端末を使ったことが「ある」とも「ない」とも明言したことはない。つまり、彼は彼の感覚で僕を判断して「この人はタブレット端末を使ったことはないだろう」と思ったということだ。その判断をするにあたっては「年齢」という要素が大きな影響を与えているのだろう。
なるほど、僕は、タブレット端末を使ったことがない人に見えるのか。
これはなかなか新鮮な発見であった。考えてみれば僕にしたって彼くらいの年齢の人が何に親しんで何がレンジ外なのかよくわからない。たとえば、彼くらいの世代の男の子の中でどんな音楽が流行っているのか、携帯電話という言い方とスマートフォンという言い方のどちらに親近感があるのか、ぼんやりとしたイメージがないわけでもないけど、ちゃんと明文化できる自信はない。

そういえば、彼にはこんなことを言われたこともあった。
「パソコンで使うマウスってあるじゃないですか。あれって無線接続のもあるんですけど……」
ちなみに、僕の父親が使っているパソコンだってマウスは無線である。
それはそうと、彼はパソコンにマウスがない時代があったということは知っているのだろうか。