平熱通信

妄想癖、心配性、よそみがち。

よくも悪くもルーティンワーク。

今日に限って、乗った電車がふたつともまったく遅れたり止まったりしなかった。朝の時間帯は乗降客が多いこともあり、電車の走行に影響するようなアクシデントが起きる確率が高い。なのでいつものように、ちょっとはやめに自宅を出たところ、検査予定時刻よりも20分近く前に病院に到着してしまった。

待合室でぼんやりしていると、これまた今日に限って予定時刻よりもはやく検査をしてくれるという。はやく検査がはじまればはやく検査が終わり、その結果いつもよりはやく帰宅できる可能性もある。これはいわゆる「早起きは三文の徳」というやつなのかもしれない。それはそれとして、三文とは今の金銭感覚でいうといくらくらいなのだろう。

……などとどうでもいいようなことを考えつつ検査に挑んだのだが、いつもよりはやく帰宅することはできなかった。
数か月に一度、同じ病院で同じ検査をしているのだが、患部であるところの目玉の調子が悪く、検査機器の調整に手間取ってみたり、検査途中でなにかがうまくいかなくなり、最初からやりなおしたりしているうちに時間はどんどん過ぎていき、結局のところいつもと同じくらいの時刻に検査は終わったのであった(検査が中断された要因であるところの「なにか」については特に説明はなかったのだが、あれはいったいなんだったのだろう)。

検査結果について、主治医と短く会話をして、処方された薬を持ち帰る。次回の検査は8月だ。基本的に同じことの繰り返しなのだが、目玉だけが徐々に、しかし確実にポンコツになっていく。治る病気ではないので、少しづつ悪化していくところを観察するというのがこの検査の主な目的になり、その意義も重要性も理解はしているが面白くはない。
検査そのものももう数十回も行っているのでとっくに飽きている。ただでさえ飽きているのに症状の悪化に伴なって所要時間は増えていき、それが少しいらいらさせる。「定期的にやらなければならないルーティン」だから誰に文句を言うこともなくやるのだが、だからといって心中穏やかだと思ったら大間違いだぜ、と、宛先不明のセリフを考えてみたりする。

やれやれだぜ、などと独り言を言いながら帰宅して、娘がどこかのデパートで買ってきたケーキを食べる。偏食姫としてごく一部で有名なウチの娘がどのようなケーキを選ぶのか、なかなか興味深いイベントだったのだが、そのケーキ(というか大きなパイ)はなかなか美味かった。ケーキを選んだ決め手は、店員のお姉さんが色白美人で娘の好みのタイプだったからだそうだ。ケーキの選び方にもいろいろあるものだなあと感心する。その選び方でこれだけ美味いケーキが食べられるのだから、これはこれでアリなのかもしれない。
まあ、そもそも人に選んでもらったケーキというのはそれだけで美味いのだ。これまた年に1度のルーティンワークみたいなもので、大はしゃぎするような年齢でもないのだが、今日は誕生日なのである。