平熱通信

妄想癖、心配性、よそみがち。

ウイルスとかについて。

毎日毎日世の中はウイルスの話で持ちきりだ。

ところで、「毎日毎日」という言葉を思い浮かべると、ついつい「僕らは鉄板の」というフレーズを思い出してしまうのをなんとかしたいなあ、と思っている。ちなみにこのフレーズには「上で焼かれていやになっちゃうよ」という続きがあり、ここだけ取り出してみるとなかなかおそろしい状況ではある。
大昔、こんな歌詞の歌がTVの子供番組で放送されていて、その当時、幼き僕は、この歌をちょっと面白いコミックソングくらいに思っていたような記憶がある。毎日鉄板で焼かれていた主人公は、最終的には食べられてしまい、その時点でこの歌は終わる。後日談もエピローグも、それどころか食べられる時の主人公の心理描写すらない無情な幕切れなのである。そんなおそろしい歌を面白がって口ずさんでいたわけで、やはり子供は異常なものに対しての許容範囲が広いというか、非日常への入口が近いのかもしれない。

いや、そんなことより。
ここのところ、生活の中でいやというほど「ウイルス」という言葉を浴びていて、ふと思い出したことがあるのだ。

「ウイルス」って、昔は「ビールス」って呼ばれてなかったか。

そんなことを思い出しつつ、テレビのニュース番組などを見ていると、ウイルスに関しての外国の有識者は、ウイルスのことを「バイラス」というような発音で発声しているように聞こえることに気付く。

「バイラス」はネイティブ・スピーカーが話すところの本物の発音で、これを日本人がカタカナに移行した結果「ウイルス」や「ビールス」になったのだろうか。ずいぶんと飛躍した移行のようにも思えるが、「sewing machine」を「ミシン」という言葉を作って受け入れたお国柄ゆえ、ありえない話ではない。

……みたいなことを考えながらちょっと調べてみると、この問題はかなり簡単な理屈で解決することがわかった。
どうやら、

ウイルス:ラテン語。
ビールス:ドイツ語。
バイラス:英語。

……ということらしいのだ。知ってしまえば「なあんだ」というような話である。きっと、ちょっと語学に興味のある人にしてみたら「なにをいまさら」というくらいのことなのだろう。
とはいえ、個人的には「ふむふむなるほどそういうことなのね」というような、ちょっとした納得感と満足感があった。ちなみに僕は、同じように「なんとなく気になる系」として「モービル(あるいはモビル)とモバイルはどう使い分けるのか」という問題も抱えているのだが、なにせ急いで解決しなくても何も困らないので、結論は先延ばしになりがちだ。

それはさておき、バイラスってなんとなく怪獣の名前っぽいような気がしないでもない(と思うのは僕だけだろうか)。

『大怪獣バイラス』
(出演:ジェニファー・ビールス、ブルース・ウィルス)

……勢いでこんなことを書いてみて、その意味のなさにめまいを感じているところだ。